最強王子とフェンス越しの溺愛キス
「じゃあ、行こっか!美月ちゃん!」
「う、うん……っ」
女の子と歩いて帰るなんて、ちょっと……いや、かなり嬉しい。
私は、はやる気持ちを押し殺しながら「家、こっちなの」と歩き出す。
「嬉しいなぁ、こんな可愛い子のお家に行けるなんて!真白、ついてる~♡」
「な、何もない家だよ?私しかいないし……」
「そうなの?じゃあ、毎日たくさん夜更かし出来るじゃーん!」
「そ、そうだね……」
ほんとは……夜更かしなんて、すぐに飽きてしまった。
そして、気づいてしまった。
例え夜更かしが出来たって、家で誰とも喋らないのは……。夜更かし出来ないことよりも、そっちの方が何倍も辛くて悲しいんだって、気づいちゃった。
「美月~?」
「あ、ご、ごめんね。真白ちゃん」
「ううん!それよりさ――
ここらで有名な暴走族の話は知ってる?」
「ぼう、そう……族……?」
いきなりの話題に、言葉に詰まる。
真白ちゃんは、さっきとは打って変わった顔つきだ。
顔から笑みを消して、真顔で話し始めた彼女を見て――私も無駄に緊張しながら聞いてしまう。