最強王子とフェンス越しの溺愛キス
「美月ちゃん、どうしたの?」
「な、なんでも、ない……」
「美月ちゃん……やっぱり、まだ……」
「(え――?)」
今、なんて――?
そう思っていた時。真白ちゃんが公園を見つける。
「ちょっとベンチで休もう」と声を掛けてくれ、私は素直に従う事にした。
「顔色悪いよ、美月ちゃん。私、飲み物買って来るから、そこで待っててね!」
「ごめんね、真白ちゃん」
「……ううん」
ニコリと笑った顔が、何だか悲しそうに見えて。
一瞬、そこにいるのが真白ちゃんだって、分からなくなった。
「(頭、重い……っ)」
真白ちゃんの後ろ姿を見送った後。
ベンチに背を預け、目を瞑る。
深呼吸を繰り返し、何とか落ち着こうと必死になった。
だから、気づかなかった。
「見つけたぜ、魔女さん」
その声が、私のすぐ後ろから降ってくる。
だけど、私はなすすべもなく。
声を出す暇もなく。
ドサッ
首の後ろで痛みを感じ、そのまま、意識を手放したのだった。