最強王子とフェンス越しの溺愛キス
「で、例のヤツは呼んだんですか?」
「まだだ。この女、スマホ持ってねーんだよ」
「え、今時……?」
ビックリしたような男の人の声。
だけど、ビックリしたのは、私の方。
この女って、私の事だよね……?たぶん。
でも私、スマホは持ってたはず……。
「(え、ない……。ウソ……っ)」
少しだけ手を動かしてスカートのポケットを見るも、男の人が言うように、スマホは見当たらなかった。
なんで、どこで落としたんだろう……。
いや、それより――
『何かあったら、いつでも俺に電話してね』
生吹くんに、連絡がとれない……っ。
自分が今、どういう状況に置かれているのかも。
これから何が起こるのかも分からない。
けど、
危険。
それだけは、分かる。
私の中の本能が、早くここから逃げてと言ってる。