最強王子とフェンス越しの溺愛キス
言いながら、新島の手が私の胸元に伸びる。
ゆっくりと、いやらしさを込めて。
「や、めて……っ」
頭が真っ白になりつつも、状況を整理する。
つまり新島は、総長の情報を得るために私を攫ったのではなく。ただ生吹くんを嫌っている――それだけの理由で、私を連れ去った。
そして、今から……
「やだ、や、やめて……っ!」
「生吹にも聞かせてやりてぇなぁ、この声ぇ」
「来ないで……っ!」
頭が真っ白になりつつも、必死に抵抗をする。だけど、上手くいかない。
逃げたいのに、逃げられなくて。
だけど、もう終わったって諦めたくなくて。
手も足も動かせないのは知ってるけど、どうにかならないかって無我夢中で足掻いてみた。
だけど、
「うっせーなあ!!!!?」
「ッ!」
新島の咆哮一つで。
私の体は、また固まってしまう。
怖い、嫌だ、こわい。助けて……
助けて、生吹くん――
その時だった。
ガンッ
「コイツ、ぐぁ、!?」
「新島さ、逃げ、、がッ!!」
鈍い音と、重い音。
二つの音が、繰り返し、私の耳に聞こえてくる。