最強王子とフェンス越しの溺愛キス
バタンッ
「や、い、生吹くん……!?」
まさか、扉を閉めると思わなかった私。
倉庫の中は、また真っ暗なんじゃないかと思い、不安になる。
あの人数、あの暗さで、一人……。
「生吹くん……、生吹くん……っ」
すると、一輝くんが、私の肩を軽く叩く。
ポンと、優しく。
「行こう」
それはまるで、励ましてくれているかのような響きだった。
「……はいッ」
倉庫の中の声が激しくなっていくのを、背中で聞く。
生吹くんの名前を、何度も心の中で叫んだ。
生吹くん、生吹くん――どうか、無事でいて。
「はぁ、はぁ……っ」
「こっち、もう少しだから頑張れ」
「は、はぃ……ッ」
二人の足音が、夜道に響く。
そして、薄暗い所から人通りの多い場所まで、何とか走りきることが出来た。