最強王子とフェンス越しの溺愛キス
「はぁ、はぁ……」
「よし、ここまでくれば何とか………………」
「……っ?」
急に声が途絶えたので、不思議に思って一輝くんを見る。
肩で息をするほど走ったのは久しぶりで……顔を上げる動作一つがしんどい。
だけど不思議なことに。一輝くんの方がしんどそうに悶絶していた。
前かがみになり、深い呼吸を繰り返す私の姿を見て――
「着替えようか、美人さん……」
「え、あ!」
一輝くんは「それ」と言わんばかりに、指をさす。
その先にあるのは、新島に破られた私の制服。
「生吹が見たらブチキレるわ、その恰好は」
「す、すみません、お見苦しいものを……っ」
「いや、俺はむしろ拝むくらい有難かったけど。
早いとこ、テキトーに服買うか。生吹が帰ってくるまでに。
さすがにダチを犯罪者にはしたくねーもんな」
「は、犯罪者……?」
急に不穏なワードが出てきて、ドキリとする。
すると、一輝くんは眉間にシワを寄せて私を見た。