最強王子とフェンス越しの溺愛キス
生吹くんは、まるで下校中のように……。まるでケンカなんてなかったかのように、ファミレスに来て、私の隣に座る。
周りの人から見たら「たった今ケンカを終えて来た人」……には、見えないんだろうなぁ。
「(私から見ても、普通に見えるくらいだし……)」
傷一つない。
制服に一点のシミすらない。
靴の汚れも、何もかも――生吹くんはお昼のままの生吹くんだった。
「あ、の……大丈夫、なの?」
どこか見えないところが怪我をしてるんじゃ――?
そう思って声を掛ける。
けど、
「うん。暗いから少し手間取っただけだよ。俺は平気」
「そ、そうなんだ……」
手間取った……って……。
こんなに早く合流出来るとは思ってなかった。けど、生吹くんにとっては、今日は手間取った方なんだ。
「(圧勝だったんだ、生吹くんの)」
新島や一輝くんの言う通り、生吹くんは本当に強い人なんだ。総長って噂されるくらいに。