最強王子とフェンス越しの溺愛キス
「な、美人さん。俺の言った通りだろ?コイツの心配なんて、するだけ無駄だって」
ニカッと笑って、私を見る一輝くん。
生吹くんは、苦い顔をして一輝くんを見た。その時に、テーブルの下でドカッと音がする。
「いって。生吹、テメ、足蹴るな。
手伝ってやった恩を仇で返す気か?」
「……ここはおごる」
渋々言った生吹くんに、一輝くんは「ヨシ」と言いながら、スープバーを取りに行った。
そっちは追加料金がかかる気がするけど……。わざと、なのかな?
「美月、怪我はない?」
「あ、う、うん……」
一輝くんの方を見ていると、生吹くんが私の肩をチョンと触った。
さっきまでの荒々しい生吹くんの雰囲気はなくて。今はとっても優しい。
「にしても、なんで着替えたの?」
「え……」
新島にボタンを引きちぎられ、制服を胸元まで破かれたから――とは、言えない。だって、今の生吹くん。笑ってるのに、何だか目が本気なんだもん。
「(マズイ。生吹くんに知られると絶対いけない気がする)」
何か言い訳をしなくては、と思ったところに、一輝くんがスープ片手に帰って来た。