最強王子とフェンス越しの溺愛キス
「あ、生吹。美人さんの制服な、砂や泥で汚れてたから着替えたぞ。
それより。
なんで美人さんは、新島に捕まってたんだよ?」
「あ……」
生吹くんも気になるようで、私の顔を覗き見る。
綺麗な顔に見つめられながら話すのは緊張する。
けど……
私は事のなりゆきを、順を追って説明した。ただ一つ、生吹くんが総長だという噂の事は隠したまま――
「つまり、真白とか言う子と離れた瞬間を狙われたって事か。新島は、生吹と一緒にいた美人さんを“ 彼女”って勘違いしたんだな。で、生吹の弱みになると思って攫った」
「お昼に俺と美月が話しているのを見られてたって事か。俺のせいだな……」
そう言って「ごめん美月」と力なく謝る生吹くん。
だけど、私は気にしてない。
そりゃ、怖かったけど……、
でも、
「生吹くんは、来てくれた」
「え?」
「私を助けてくれた。
それだけで、充分だよ」
「美月……」
尚も眉を八の字にして、申し訳なさそうな顔をする生吹くん。
その正面で「でもさー」と、一輝くんがハンバーグを食べながら怪訝な顔をする。