最強王子とフェンス越しの溺愛キス

お礼を言ってスマホを手に取ると、
「念のために中を確認した方がいいよ」と生吹くんに言われた。

だけど、ロックがかかって開かない。

私は「あっ」とお昼の事を思い出す。



「そっか、お昼に生吹くんにパスワードを設定してもらってたんだよね」

「え、あ……そうだね」



覚えてる?と言われたので、自分で決めた六桁の番号を打ち込んでみると、何事もなく開けた。

それから中を確認したけど、何も悪い事はされていない。ホッと肩の力が抜けた。



「良かった。スマホは大丈夫そうだよ、生吹くん」

「……」

「生吹くん……?」

「え、あ、ごめん。何でもないよ」



何かを考えていた生吹くん。すごく真剣な顔だったような。

だけど私を心配させない為か、パッと、いつも通りの顔に戻る。



「生吹くん大丈夫?やっぱり、どこか怪我をしたんじゃ……?」

「本当に大丈夫。それより、美月は家に帰った方がいいんじゃないの?」

「え、あ……」



時計を見ると、夜の八時。
確かに遅い、けど……。



「大丈夫だよ、ウチは……私しか、いないから」

「え」


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