最強王子とフェンス越しの溺愛キス
驚いた顔で私を見る生吹くん。
正面でちょうどハンバーグを食べ終わった一輝くんも、黙って私を見ていた。
「私、ね……両親が幼い頃に交通事故に遭って……いなくなったの。
それからは施設で育って、高校に入学してから、一人暮らし……してて……あ」
しまった。こんな面白くない事、ペラペラ喋るもんじゃないよね……っ。
やってしまった……っ。
「ご、ごめん……変な事、言った。
私、やっぱり帰るね……っ」
ガタンッと席を立とうとする。
だけど、私の腕を生吹くんが握った。
優しく、まるで壊れ物を触るみたいに。
「俺に送らせて。お願い」
「い、生吹くん……」
「……ダメ?」
立った私を、上目遣いで見る生吹くん。
まるで子犬が捨てられたみたいな、切ない表情で……。
「(そんな顔で見られたら、こ、断れない……)」
負けた私が、コクンと頷く。
すると生吹くんは、まるで花が咲いたようにパッと笑顔になった。