最強王子とフェンス越しの溺愛キス
「一輝はまだいるだろ?俺もここに戻ってくるから……いいよな?」
「……へいへい」
「ん。じゃあ美月、行こうか」
「(今……)」
生吹くんと一輝くんの間に「見えない会話」があった気がした、けど……。
「美月?」
「え、あ。うん……なんでもないよ。
あの、一輝くん。今日は本当に、本当にありがとう」
「ううん、俺も美人さんを守れてよかったぜ。ちょっとしたナイトの気分だったな」
ふふんと、まるで鼻を高くして笑う一輝くんが何だかおかしくて「ふふ」と笑いが漏れてしまう。
「私、美月って言います。今更、だけど……。
一輝くんも名前で、呼んでくれると嬉しい……」
「うん、もちろん。美月ちゃん」
「うん」
それから、バイバイをして、生吹くんと二人で外に出る。
「ん、いいよ。美月、出て」
「は、はい……」
細心の注意を払って、生吹くんは私を外に出してくれる。
そこまでしなくても……と言いかけた私だけど、さっきの新島の言動が記憶から這い出てくる。