最強王子とフェンス越しの溺愛キス
新島の妖しく光る目。
やらしい手つき。
頬を舐められた感触……。
「(全て、気持ち悪い……っ)」
ブルリと、身震いがした。
その際に、ガサッと。
服を買った時に貰ったショッピングバックが、音を立てる。
「(忘れちゃいけない……。
忘れ、られない……っ)」
なんで服を買う羽目になったのか。
もし生吹くんが来てくれなかったら、私はどうなっていたか……。
「(心配しすぎて損はないんだ……)」
改めて、自分の存在の危うさを感じる。
自分でも、もっと危機感を持たないといけないな……。
その時だった。
生吹くんが、ショッピングバックを持たない、もう片方の私の手を攫う。
お店で私の腕を握った時とは違い、今度はギュッとしっかりと握った。
まるで、離さないと言わんばかりの――そんな無言の圧力を感じる。
「ごめんね」
だけど、力強い手とは反対に。
彼の発する声色は、暗闇に溶けていくような弱々しいものだった。