最強王子とフェンス越しの溺愛キス
「俺のせいで巻き込んだ。俺のせいで、美月を危険な目に遭わせた」
「そ、んなこと……。ボーッとしてた私が悪いの……」
「違う、そんなことない。本来なら、こんな危険な事……」
「生吹くん、ひゃッ!」
グイッと、体が引っ張られる。
行き着く先は、生吹くんの腕の中。
ギュッと、強く優しく。
生吹くんは私を包み込んでくれた。
「(生吹くんの匂い……落ち着く)」
今まで、フェンス越しにしか会った事のなかった私たち。
そ、そう言えば、今日はお昼に……
キス、しようと……っ。
私がそう思ったと同時に、生吹くんは「ごめん」とパッと体を離す。
「これ以上は、ヤバい……」
「え……?」
「俺はね、美月……。
フェンスがあって、ちょうどいいんだよ」
「え――」
一瞬、拒絶されたのかと思った。
拒否されたのかと――
私とは、直接会いたくなかったんじゃないかと、ショックを受ける。