最強王子とフェンス越しの溺愛キス


だけど――


『生吹は総長なんじゃないかって、
みんな勘づいてるぜぇ?』



「っ!」



ハッとする。

そうだ、私は生吹くんに聞きたい事があったんだ。

そして、聞いて欲しいことも。



「ねぇ、生吹くん」



歩いてる足を止めると、生吹くんと繋がった手がゆっくりと上に伸びていく。

だけど離れてしまう前に生吹くんは足を止めてくれ、私を振り返った。



「私ね、生吹くんに……聞きたいことがあるの」

「うん」



返事をした生吹くんの顔は、笑っていて。まるで、これから私が何を言うか分かっているかのような。そんな表情。



「美月になら、なんでも答えるよ。嘘もつかない、絶対に」

「あ、ありがとう……」



生吹くんは、聞かれる覚悟が出来ているんだ。

だったら私も、答えを聞く覚悟を持たないといけない。



「しょ、正直に言うねっ。

生吹くんって……」



喋っている間に、心臓のドキドキで声がひっくり返ってしまいそうで。そんな間抜けな事態にならないように、必死に地に足をつけて喋る。



「生吹くんって、総長……なの?」



そして、ついに疑問を口にした私。

生吹くんは、そんな私を――



「美月、俺はね」



真剣な顔で、見つめ返すのだった。


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