誰か僕に気がついて
5月18日

ムカつくことばかりが
続いている

学校の帰り道、声をかけられた
「達也く~ん!
お勉強がんばってね~!」
「塾に入ったらしいじゃん」

いつもからんでくる3人が
校門の横で座りこんでいた
僕は無視をして通りすぎた

「おまえみたいなおちこぼれと
一緒にいるのは、学校だけで
たくさんなんだけどな~」

「聞いてんのか~?
おまえさあ、まるでロボットだな
笑わない、怒らない、無表情」

「ちがう、ちがう!
ロボットじゃないよ
アレだよアレ、は・に・わ・」

「ああ~はにわねえ、ハッハ~
確かに似てる、似てる!」

3人はヘラヘラ笑いながら
僕に言い寄ってきた
先こうの前じゃいい子ぶって
かげで3人組んでイヤミばかり
言ってくる

ひとりじゃ何も出来ないくせに
最低なやつらだ

こづかいたっぷりもらって
でかい家に住んで
おまえらとなんか
1分でも一緒にいたくないんだよ

無視する僕の背中に
3人はいつまでも叫んでいた

「いっそ、あいつ
いなくなってくれたらさ、
俺たち、こんなムダな時間
使わなくていいのにな
なんか、ムカつくやつだな」

僕は背中に何かが刺さったように
イヤな気がした

情けないけど、
涙が出てきた

すがるように進太にメールした

夜、進太から返事がきた

「あいつらの親さあ
めちゃ厳しいらしいぞ。
そのムシャクシャを達也に
ぶつけてるだけだよ
いじめでテメエらのストレス解消
なんて、ひでえ話だな。
今度、オレがバシッと言ってやる!」

少し気が晴れた


5月20日

もう1年以上書いてないな

夕べもまた、あのふたりの
ケンカがはじまった

ずっと前に父さんが作った
借金はあまり減っていないらしい

ばあちゃんの手助けも
母さんは意地をはって
断ったらしい
母さんの怒鳴る声が聞こえた

「まったく、だらしない!

達也の塾代もさちのピアノ代も
全部この私が払ってるの!

あなたなんか、いっそ
いないほうがましだわ!」

塾にピアノ
そんなことがケンカのもとかよ
ぼくはやるせなかった

来年の入試、もしも落ちたら
また金がいるな
落ちたらヤバイな

だけど勉強なんて
まるでやる気がしない

友達と話すのも面倒くさくなった

僕の居場所はどこにもない

僕の気持ちなんてだれにも
わからない

僕が悩んでいることなんて
みんな知らない

いつまでも止まないケンカの声を
聞きながら
僕は夜中までゲームをした














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