誰か僕に気がついて
2月20日
ついに明日は入試だ
最悪なことに熱が出た
母さんは仕事を休み
僕は病院に行った
「中耳炎ですね」
母さんは医者に言い寄った
「明日は高校入試なんです。
熱が下がらないと困ります!」
痛み止めと解熱の注射をした
夜、熱は下がっても
体がだるかった
晩ごはんの肉はまずかった
ばあちゃんが心配して
見舞いに来てくれた
「あなた!達也に肉を
食べさせたの?
熱の時はね
温かいおぞうすいでも
作ってあげなさいよ!
だいいち、熱が出るのも
風邪を引くのも
いいことなんだからね!
ハナだのタンだの
身体中の汚いものを外に
出してくれるんだから
むしろ、ありがたいことだよ!
やたらに止めちゃいけないって
いつも言ってるでしょ!
あなた、子供達が小さい頃から
すぐに薬を飲ませるけど
強い薬は副作用だってあるし
少しは考えなさい!
薬にたよる前に
母親としてやるべきことが
あるんじゃないの?!」
珍しく母さんが叱られていた
母さんは何か言いたそうな顔で
黙っていた
頭がボ-ッとしたけど
一応、机の前に座った
ドアがいきなり開いて
母さんが強気でしゃべった
「塾代たっぷりつぎ込んで
きたんだから
明日はがんばんなさいよ!」
いっぺんに気分が悪くなった
ガンガンする耳の奥で
母さんの声はうっとうしかった
入試なんてどうでもよかった
そして・・
高校入試は予想どおり落ちた
僕は金のかかる高校に通いはじめた
5月22日
このごろ母さんはすっかり
変わってしまった
いつも気分が悪そうにしている
学校に気の合う友達もいない
進太が唯一の話し相手だ
進太に誘われて
仕方なくサッカー部に入った
ユニホーム代が高くて
母さんから金喰い虫と言われた
仕事から帰ると
毎日のように愚痴をこぼしている
父さんもビール漬け
さちは部屋からほとんど
出てこない
いったいこの家は
何のためにあるんだろう
みんなバラバラだ
明日からテストだけど
僕には関係ない
新しいゲームを買って
ひたすらやり続けた
ついに明日は入試だ
最悪なことに熱が出た
母さんは仕事を休み
僕は病院に行った
「中耳炎ですね」
母さんは医者に言い寄った
「明日は高校入試なんです。
熱が下がらないと困ります!」
痛み止めと解熱の注射をした
夜、熱は下がっても
体がだるかった
晩ごはんの肉はまずかった
ばあちゃんが心配して
見舞いに来てくれた
「あなた!達也に肉を
食べさせたの?
熱の時はね
温かいおぞうすいでも
作ってあげなさいよ!
だいいち、熱が出るのも
風邪を引くのも
いいことなんだからね!
ハナだのタンだの
身体中の汚いものを外に
出してくれるんだから
むしろ、ありがたいことだよ!
やたらに止めちゃいけないって
いつも言ってるでしょ!
あなた、子供達が小さい頃から
すぐに薬を飲ませるけど
強い薬は副作用だってあるし
少しは考えなさい!
薬にたよる前に
母親としてやるべきことが
あるんじゃないの?!」
珍しく母さんが叱られていた
母さんは何か言いたそうな顔で
黙っていた
頭がボ-ッとしたけど
一応、机の前に座った
ドアがいきなり開いて
母さんが強気でしゃべった
「塾代たっぷりつぎ込んで
きたんだから
明日はがんばんなさいよ!」
いっぺんに気分が悪くなった
ガンガンする耳の奥で
母さんの声はうっとうしかった
入試なんてどうでもよかった
そして・・
高校入試は予想どおり落ちた
僕は金のかかる高校に通いはじめた
5月22日
このごろ母さんはすっかり
変わってしまった
いつも気分が悪そうにしている
学校に気の合う友達もいない
進太が唯一の話し相手だ
進太に誘われて
仕方なくサッカー部に入った
ユニホーム代が高くて
母さんから金喰い虫と言われた
仕事から帰ると
毎日のように愚痴をこぼしている
父さんもビール漬け
さちは部屋からほとんど
出てこない
いったいこの家は
何のためにあるんだろう
みんなバラバラだ
明日からテストだけど
僕には関係ない
新しいゲームを買って
ひたすらやり続けた