誰か僕に気がついて
6月13日
学校から帰ると
珍しく客がいた
廊下からチラッと見たけど
やけに化粧の濃いオバサンだった
僕の部屋まで
話し声が聞こえてきた
「子供が可愛いのは
小さい時だけね、
最近じゃ、自分ひとりで
育ったような顔してさ
うちの娘ったら
私のこと「アンタ」って
呼ぶんだよ!ひどいでしょ!」
「どこも同じよ!
うちだって、昔、駅前の
遊園地に行ってた頃が
いちばん楽しかったかも!」
母さんの声ははずんでいた
「お互いさ、ダメ亭主のおかげで
人生が狂っちまったね
またさ、ふたりで
うさばらしに行こうよ!」
話はほとんど
父さんや僕らの愚痴だった
母さんが男言葉になったのは
あいつのせいだと思った
「それよりさ、
最近、達ちゃん評判悪いらしいじゃん!」
急にヒソヒソ話になった
「クソッ!」
僕はドアに向かって
机の上の本を片っ端から投げた
学校から帰ると
珍しく客がいた
廊下からチラッと見たけど
やけに化粧の濃いオバサンだった
僕の部屋まで
話し声が聞こえてきた
「子供が可愛いのは
小さい時だけね、
最近じゃ、自分ひとりで
育ったような顔してさ
うちの娘ったら
私のこと「アンタ」って
呼ぶんだよ!ひどいでしょ!」
「どこも同じよ!
うちだって、昔、駅前の
遊園地に行ってた頃が
いちばん楽しかったかも!」
母さんの声ははずんでいた
「お互いさ、ダメ亭主のおかげで
人生が狂っちまったね
またさ、ふたりで
うさばらしに行こうよ!」
話はほとんど
父さんや僕らの愚痴だった
母さんが男言葉になったのは
あいつのせいだと思った
「それよりさ、
最近、達ちゃん評判悪いらしいじゃん!」
急にヒソヒソ話になった
「クソッ!」
僕はドアに向かって
机の上の本を片っ端から投げた