誰か僕に気がついて
父さんが入院をして
家の中はますます冷たくなった



12月3日

ゲームのやりすぎか
中耳炎と頭痛薬の飲みすぎか
朝から頭がぼんやりする

部活では先輩に叱られどおしだった
練習が終わると
先輩から呼び出された

「おまえ!やる気あんのかよ

おまえがひとりでみんなの足を
引っ張ってるって気づけよな」

僕は黙って聞いていた

「おい!何とか言えよ!

クズのくせに
でかい態度とってんじゃねえよ!」
胸ぐらをつかまれた

「退部します・・
そうして欲しいみたいだし」
先輩の手をはらいのけて言った

突然、前と後ろ、
両方から殴られた

僕は目の前が
一瞬真っ白になった

倒れた僕の足を
思い切り蹴って
先輩達は、いなくなった

しばらく呆然とした

ひざから大量の血が流れていた

頭がクラクラした

やっとの思いで
カバンからタオルを出して
とりあえずひざを縛った

必死で家に帰って来た

風呂場で傷口を洗った

流れる血を見ながら涙が出てきた

悔しかった・・

どうしてこんな嫌なことばかり
次々起こるんだ

どうして僕ばかりがこうなんだ

泣けば泣くほど悔しさが増した

僕は風呂場に座り込み
止まらない血と涙を
ひたすらぬぐった


いつのまにか声を出して
泣いていた

ようやく部屋に戻り
ベットに寝転んだ
大きくため息をついて
目を閉じた

ドアの向こうでバタバタと
足音がした

「達也!母さん今日は
病院に泊まるからね!

火だけは気をつけてよ!
火事でも起こされたら
たまらないからね!」

はき捨てるように喋って
また出て行った

「あんたにかまってる暇は
ないから・・」

この前、母さんから
言われた言葉が
頭から離れなかった

夜になると傷口がやけに痛んだ

腹がへっていたけど動けなかった








< 21 / 37 >

この作品をシェア

pagetop