春の花咲く月夜には
「・・・、すいません・・・。今日は、このぐらいで止めときます・・・」

「う、うん・・・」

離れると、2人で急に恥ずかしいような気持ちになって、少しの間、お互いにそわそわとした。

と、彼が私の髪に手を伸ばし、優しく撫でてくれたから、応えるように、私は彼に視線を向けた。

ーーー目が合うと、彼は、私を愛おしむように微笑んで。

私の胸が、また、大きく高鳴っていく。

「・・・じゃあ・・・、そういうことで・・・。これから、よろしくお願いします」

「・・・うん・・・。お願いします・・・」

言い合って、お互いに、はにかむようにうつむいた。

静かな時間に、甘い余韻が流れてく。

そして彼はもう一度、私に約束のようなキスをした。







< 143 / 227 >

この作品をシェア

pagetop