春の花咲く月夜には
帰ることに決めた私は、人波をかき分けロビーを抜けて階段を上り、道路が見える地上へと出た。
もう、すっかり夜の街。
さっきまでいた空間と、全く違う景色が広がる。
それでも、まだ、ライブの余韻は続いてる。
(・・・こんな時、誰かと一緒に来ていたら、感想話せて楽しいのにな・・・)
そう思った瞬間に、ふと、元村先生の顔が頭をよぎった。
一度だけ、「×3BLACK」のコンサートに一緒に行ったことがあり、その時の楽しかった記憶が心の中にまだ残っているんだ。
けれど、私は断ち切るように首を振り、すぐに駅方向へ向かって歩き出す。
(・・・せっかく楽しい時間を過ごした後だもん。今は、先生のことは考えたくない・・・)
・・・今だけじゃない。これからも、ずっと考えることなんてなければいいのに・・・。
その時、ちょうど目の前の信号が赤に変わった。
まるで、この想いを留まらせようとするように。前に進ませまいとするように。
(・・・なんて。赤信号ぐらいでこんなことを考えてしまうだなんて、まだまだ忘れられない証拠かな・・・)
だけど、前に進みたい。こんなに楽しかった夜だもの。
今までと違う道を選んで、ちゃんと前に進みたいーーーーー。
ふと横道に目をやると、暗がりの中、明るく光る自販機が。
こんな薄暗い道にある自販機で、わざわざ飲み物を買うこともないかもしれないけれど、私はあえて買おうと決めて、横道に向かって歩き出す。
そして、自販機の前で足を止め、商品を上から順に眺めていった。
(・・・どれにしよう・・・、あっ、オレンジジュースがある)
100%のオレンジジュース。
なぜか今、無性に飲みたい気持ちになった。
お金を入れてボタンを押して、小さめのペットボトルを取り出すと、私はすぐにキャップを外し、ゴクゴクとのどに流し込む。
すると、ついさっき抱いた気持ちが・・・先生を思い出した記憶は不思議と薄くなっていき、ライブの時の楽しい気持ちが蘇る。
(・・・はあ、これ、すごくおいしい・・・)
どこにでも売っている、100%のオレンジジュース。
もちろんいつ飲んだっておいしいけれど、今日はいつも以上においしく感じる。
もう、すっかり夜の街。
さっきまでいた空間と、全く違う景色が広がる。
それでも、まだ、ライブの余韻は続いてる。
(・・・こんな時、誰かと一緒に来ていたら、感想話せて楽しいのにな・・・)
そう思った瞬間に、ふと、元村先生の顔が頭をよぎった。
一度だけ、「×3BLACK」のコンサートに一緒に行ったことがあり、その時の楽しかった記憶が心の中にまだ残っているんだ。
けれど、私は断ち切るように首を振り、すぐに駅方向へ向かって歩き出す。
(・・・せっかく楽しい時間を過ごした後だもん。今は、先生のことは考えたくない・・・)
・・・今だけじゃない。これからも、ずっと考えることなんてなければいいのに・・・。
その時、ちょうど目の前の信号が赤に変わった。
まるで、この想いを留まらせようとするように。前に進ませまいとするように。
(・・・なんて。赤信号ぐらいでこんなことを考えてしまうだなんて、まだまだ忘れられない証拠かな・・・)
だけど、前に進みたい。こんなに楽しかった夜だもの。
今までと違う道を選んで、ちゃんと前に進みたいーーーーー。
ふと横道に目をやると、暗がりの中、明るく光る自販機が。
こんな薄暗い道にある自販機で、わざわざ飲み物を買うこともないかもしれないけれど、私はあえて買おうと決めて、横道に向かって歩き出す。
そして、自販機の前で足を止め、商品を上から順に眺めていった。
(・・・どれにしよう・・・、あっ、オレンジジュースがある)
100%のオレンジジュース。
なぜか今、無性に飲みたい気持ちになった。
お金を入れてボタンを押して、小さめのペットボトルを取り出すと、私はすぐにキャップを外し、ゴクゴクとのどに流し込む。
すると、ついさっき抱いた気持ちが・・・先生を思い出した記憶は不思議と薄くなっていき、ライブの時の楽しい気持ちが蘇る。
(・・・はあ、これ、すごくおいしい・・・)
どこにでも売っている、100%のオレンジジュース。
もちろんいつ飲んだっておいしいけれど、今日はいつも以上においしく感じる。