春の花咲く月夜には
ーーー聞き間違いだっただろうか。
今、賀上くんが「もっと一緒にいたい」って・・・。
信じられず、確認するように彼の顔を見上げると、長い前髪の隙間から、私を捕らえる視線と目が合った。
真っ直ぐで、熱を帯びているような。
急激に、私の頬は熱くなり、咄嗟に下を向いてしまった。
「・・・迷惑なら、降りるんで」
「や・・・、そうではないけど」
「じゃあ送ります。迷惑じゃないなら、あとはオレがしたいだけだし」
電車が「胡桃が丘駅」に到着し、プシューっと音を立ててドアが開いた。
下車する人たちを横目に見ながら、賀上くんはドアの横にもたれかかった。
(・・・賀上くん、やっぱり酔ってるの?それとも本気で言っている・・・?)
わからなかった。
わからないけど、自分の頬が熱いまま、どうしようもないことだけは自覚している。
・・・落ち着かない。
私が降りる駅の改札口まで送ってくれると言うけれど、これから、賀上くんにどう接していけばいいのだろうか。
・・・どうしよう。本当に。迷惑ではないんだけれど・・・。
考えながらうつむくと、電車に乗り込んできた酔っ払い気味の男性に身体を押され、わっ、と、よろけそうになったところを賀上くんに抱きとめられた。
途端、頬の熱が、さらに一気に上がってしまった。
「・・・大丈夫ですか?」
「うっ、うんっ!大丈夫!!ありがとう・・・っ」
それだけ言って、勢いよく彼から離れた。
・・・と言っても、よろける前にいた位置に、戻ったというだけなのだけど。
(・・・だめだ、妙に意識して・・・)
彼の顔は見られなかった。
かといって、どこを見ていたらいいのかわからない。
少しの酔いと、頬の熱で、頭がショートしそうになっている。
ーーー本当にこれからどうしよう。
どんな顔で、彼と話せばいいのだろうか。
今、賀上くんが「もっと一緒にいたい」って・・・。
信じられず、確認するように彼の顔を見上げると、長い前髪の隙間から、私を捕らえる視線と目が合った。
真っ直ぐで、熱を帯びているような。
急激に、私の頬は熱くなり、咄嗟に下を向いてしまった。
「・・・迷惑なら、降りるんで」
「や・・・、そうではないけど」
「じゃあ送ります。迷惑じゃないなら、あとはオレがしたいだけだし」
電車が「胡桃が丘駅」に到着し、プシューっと音を立ててドアが開いた。
下車する人たちを横目に見ながら、賀上くんはドアの横にもたれかかった。
(・・・賀上くん、やっぱり酔ってるの?それとも本気で言っている・・・?)
わからなかった。
わからないけど、自分の頬が熱いまま、どうしようもないことだけは自覚している。
・・・落ち着かない。
私が降りる駅の改札口まで送ってくれると言うけれど、これから、賀上くんにどう接していけばいいのだろうか。
・・・どうしよう。本当に。迷惑ではないんだけれど・・・。
考えながらうつむくと、電車に乗り込んできた酔っ払い気味の男性に身体を押され、わっ、と、よろけそうになったところを賀上くんに抱きとめられた。
途端、頬の熱が、さらに一気に上がってしまった。
「・・・大丈夫ですか?」
「うっ、うんっ!大丈夫!!ありがとう・・・っ」
それだけ言って、勢いよく彼から離れた。
・・・と言っても、よろける前にいた位置に、戻ったというだけなのだけど。
(・・・だめだ、妙に意識して・・・)
彼の顔は見られなかった。
かといって、どこを見ていたらいいのかわからない。
少しの酔いと、頬の熱で、頭がショートしそうになっている。
ーーー本当にこれからどうしよう。
どんな顔で、彼と話せばいいのだろうか。