クール系ドS次期当主様はスキンシップがお好き
幼い頃、私は羽を怪我しているカラスを助けたことがある。
羽から血を流し、ヨタヨタと歩く姿を見た私は手当てをするために家に連れ帰ったのだ。
そのカラスは抵抗することもなく大人しく私に身をあずけてくれた。
幼かった私は懐いてくれたカラスという生き物に段々と愛着が湧いていった。
それから数日カラスの世話をしていたが、ある日突然姿を消してしまった。
部屋の窓が少し開いていたのでそこから飛んでいったのだろう。
当時納得できなかった私はカラスを探すときかなかったらしい。
そして不思議なことに、その日の夜カラスのベッド代わりにしていた布の上には羽根モチーフのシルバーネックレスが置いてあったのだ。
家族の誰のものでもないというので、当時の私はカラスからのお礼だと信じて疑わなかった。
そのネックレスは今でも錆びることなく私の胸元にある。