【短編】KISS
それでも、週に一度、土曜日か日曜日のどちらかはツバサくんと会うようになっていった。

私の胸のドキドキも少しずつだけどおさまりつつあって。

それでも手をつなぐたびに、相変わらず胸がきゅんとなるんだけど。

その日もまた映画を見ようってことになって、手をつないで歩いていた。

「なんかワンパターンでごめんね」

ってツバサくん笑ってたけど、あたしはツバサくんといっしょだったらどこでもいいんだよって心の中で思っていた。

すると、ツバサくんの携帯が鳴った。

「あ、もしもし。なんだタクミ?」

タクミくんていうのは、ミクの彼氏。

西中の二年生。

「あ、うんうん。明日?いいよ日曜だし。うん、わかった。じゃあマックで」

ツバサくんは携帯を閉じた。

そして――。

「ごめんね」ってあたしに笑いかけた。
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