明日翔くんの求愛行動は間違っている
私は、ソファから立ち上がった。
絶望の縦線が顔じゅうを覆い
笑顔なんて作れない。
「先生に頼んで……
席を変えてもらうから……」
私の口から吐き出される声は、低すぎ。
まるで地を這うゾンビのよう。
「いきなり何?
なんで席替えなんか頼むわけ?」
「明日翔くんの隣の席だから
嫌がらせを受けているの……」
「誰に?」
「わからない……」
「花湖がイジメられてるってこと?
違うよな?
花湖を嫌う奴なんて
この高校には一人もいないと思うけど」
推しからの嬉しい言葉。
……の、はずなのに。
心が闇に落ちていくのは、どうしてだろう?
悲しみが、拭いきれない。