飛べない私がもらった翼
時々頷いたり、無理やり笑ったりしているうちに授業は終わってしまった。ああ、一言も発言できなかったな。考えるのサボってる人みたいに見られてたらどうしよう。
休み時間、どんどん自己嫌悪に陥っていると、ふいに近い距離から名前を呼ばれた。

「桜庭さん」

「橋本くん?」

そして彼は私に尋ねた。

「なんでいつも、下向いてんの?」
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