飛べない私がもらった翼
ぱっと視線を逸らして、窓から見えた空は、いつの間にか晴れていた。青く、とても眩しく。
少し開いた窓から、秋の風が吹き込んでくる。私たちの方まで流れてきた風は、目の前の彼の、黒い髪をはらはらと撫でて過ぎ去った。
もう一度、彼と目が合う。

そして彼が言う。

「放課後、LINE、交換しよ」

「うんー…」

答える私の声は、自分のものではない、他の女の子のものみたいに聞こえたー…。
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