きみと3秒見つめ合えたなら
相川先輩は佐山先輩とまっすぐ駅に向かわず、サッカー場へ行ったようだ。
茉莉にこのあとどうするのか、とか聞かれたが、曖昧に答えた。
オレは友達と帰る、と見せかけて、コンビニに寄りたいと、駅前で一旦引き返した。
ゆっくりホームで待とう。
佐山先輩もいたら、それは仕方ない。
3人で帰るか、1人で帰るか...それは状況次第だ。
駅前で引き返そうとしたとき、前からやって来た茉莉に呼び止められた。
「恭介、ちょっといい?」
相川先輩が来るかもしれないからあんまり時間はないが、茉莉ともはっきりさせたほうがいいと思って応じる。
「恭介、エリと別れてから誰とも付き合ってないよね?ずっと彼女がいる恭介にしては珍しいよね。」
「どういう意味だよ。」
「そろそろ彼女、ほしくない?」
「は?なんだよ。それ。」
「私が彼女になってあげてもいいよ。」
茉莉、強がってるな、と思った。
本当はオレが茉莉のこと、何とも思ってないの、知ってるくせに。
「バレンタイン、私からしか受け取ってないんだってね。ちょっと嬉しかったんだけど。もしかして、恭介、私のこと、少しは...なんて思ったりして。」
しまった。
まさか油断してもらってしまったバレンタインが、茉莉を誤解させていたとは。
「ごめん。あれは幼馴染だから。
オレ、やっぱり茉莉のことはそれ以上の気持ちにはならない。」
「だよね。知ってる。
でも、お試しでもいいじゃん。付き合ってみたら、それ以上の感情、湧くかもよ。
今までの彼女だって、告白されたから付き合って、それから...って感じだったじゃない?」
「ごめん。
オレ、もうそういうのやめたんだ。ちゃんと好きな人ができたから。
その人に誤解されるようなことはしたくない。」
「恭介、なんか変わったね。すっごい好きなんだ、その人のこと。
その人は、恭介のこと、どう思ってんの?」
茉莉は、オレの好きな人は相川先輩だと知っていると思うが、ハッキリ言わない。
「オレは好きだよ。
でも、その人がどう思っているかわかんない。だから、オレ、もう中途半端なことしないで、ちゃんとその人だけを想いたいんだ。
振られるかもしれないけど。」
「そうなんだ。恭介のこと、ちゃんと好きになってくれるといいね。でも、難しいんじゃないかなぁ。」
茉莉の言い方は、まるで相川先輩の気持ちを知っているみたいな言い方だった。
「難しいんじゃないかって...」
オレは苦笑した。
「多分ね。ねぇ、もし、その恋、実らなかったらさ、私のことも考えてみてよ。」
茉莉は少し笑いながら言った。
「どうするかなぁ。」
いつものオレたちの調子に戻る。
「あー、スッキリした。ちょっと期待したけど、やっぱり私じゃないよね。わかってたんだけど。
今日、勇気出して聞いてよかったわ。てか、どうせ振られるんだったら、もっと早く確かめれば良かったなぁ。」
「ごめん、茉莉。」
「謝らないでよ。これからも仲のいい幼馴染でいてよね。あ、いい人いたら、紹介して。恭介だけ幸せになるなんて許さないから。」茉莉がいたずらっぽく笑う。
「おぅ。」
よかった。茉莉とはこのままの関係を崩したくないと思っていたから。
「恭介、がんばってね。」
「ありがとな、茉莉。」
「じゃあね。」
茉莉は、意外に早く吹っ切れたようだった。と、いうか、オレの答えをわかっていたのだと思う。
茉莉なりに、新しい道に進むための句切をつけたかったのだろう、とオレは思った。
茉莉にこのあとどうするのか、とか聞かれたが、曖昧に答えた。
オレは友達と帰る、と見せかけて、コンビニに寄りたいと、駅前で一旦引き返した。
ゆっくりホームで待とう。
佐山先輩もいたら、それは仕方ない。
3人で帰るか、1人で帰るか...それは状況次第だ。
駅前で引き返そうとしたとき、前からやって来た茉莉に呼び止められた。
「恭介、ちょっといい?」
相川先輩が来るかもしれないからあんまり時間はないが、茉莉ともはっきりさせたほうがいいと思って応じる。
「恭介、エリと別れてから誰とも付き合ってないよね?ずっと彼女がいる恭介にしては珍しいよね。」
「どういう意味だよ。」
「そろそろ彼女、ほしくない?」
「は?なんだよ。それ。」
「私が彼女になってあげてもいいよ。」
茉莉、強がってるな、と思った。
本当はオレが茉莉のこと、何とも思ってないの、知ってるくせに。
「バレンタイン、私からしか受け取ってないんだってね。ちょっと嬉しかったんだけど。もしかして、恭介、私のこと、少しは...なんて思ったりして。」
しまった。
まさか油断してもらってしまったバレンタインが、茉莉を誤解させていたとは。
「ごめん。あれは幼馴染だから。
オレ、やっぱり茉莉のことはそれ以上の気持ちにはならない。」
「だよね。知ってる。
でも、お試しでもいいじゃん。付き合ってみたら、それ以上の感情、湧くかもよ。
今までの彼女だって、告白されたから付き合って、それから...って感じだったじゃない?」
「ごめん。
オレ、もうそういうのやめたんだ。ちゃんと好きな人ができたから。
その人に誤解されるようなことはしたくない。」
「恭介、なんか変わったね。すっごい好きなんだ、その人のこと。
その人は、恭介のこと、どう思ってんの?」
茉莉は、オレの好きな人は相川先輩だと知っていると思うが、ハッキリ言わない。
「オレは好きだよ。
でも、その人がどう思っているかわかんない。だから、オレ、もう中途半端なことしないで、ちゃんとその人だけを想いたいんだ。
振られるかもしれないけど。」
「そうなんだ。恭介のこと、ちゃんと好きになってくれるといいね。でも、難しいんじゃないかなぁ。」
茉莉の言い方は、まるで相川先輩の気持ちを知っているみたいな言い方だった。
「難しいんじゃないかって...」
オレは苦笑した。
「多分ね。ねぇ、もし、その恋、実らなかったらさ、私のことも考えてみてよ。」
茉莉は少し笑いながら言った。
「どうするかなぁ。」
いつものオレたちの調子に戻る。
「あー、スッキリした。ちょっと期待したけど、やっぱり私じゃないよね。わかってたんだけど。
今日、勇気出して聞いてよかったわ。てか、どうせ振られるんだったら、もっと早く確かめれば良かったなぁ。」
「ごめん、茉莉。」
「謝らないでよ。これからも仲のいい幼馴染でいてよね。あ、いい人いたら、紹介して。恭介だけ幸せになるなんて許さないから。」茉莉がいたずらっぽく笑う。
「おぅ。」
よかった。茉莉とはこのままの関係を崩したくないと思っていたから。
「恭介、がんばってね。」
「ありがとな、茉莉。」
「じゃあね。」
茉莉は、意外に早く吹っ切れたようだった。と、いうか、オレの答えをわかっていたのだと思う。
茉莉なりに、新しい道に進むための句切をつけたかったのだろう、とオレは思った。