ひさしぶりに再会した幼なじみが総長様だったなんて聞いてません
「隣にいる子だけど、なんか関係あるの?」
私を指さしながら、不機嫌な声で話すカーストの子たち。
奈緒くんは椅子に座ったまま、下を向く私を覗き込む。
「姫乃……なのか……」
静かに囁いてくる奈緒くんの言葉を耳にして、私はゆっくりと顔を上げた。
長い髪を三つ編みにした、地味子の姿なんて……
数年ぶりに再会した大好きな幼なじみに見られたくなかったよ……
「姫乃っ、かわってねえな! ちょっと痩せたか? 元気でやってたのかよっ!」
奈緒くんは私の頭を右手で優しくポンポンしたあと、ずっとナデナデしてくれた。
嬉しい気持ちと恥ずかしい気持ちが複雑に交差して、目尻に涙が溜まってくる。
流れ落ちそうな涙をこらえるので、私は精一杯。
「はっち-、その子とどういう関係?」
カーストの人たちが、不機嫌な表情で奈緒くんに詰め寄る。
彼はクールな表情で淡々と答えた。
「俺たち、幼なじみなんだぜ」