ひさしぶりに再会した幼なじみが総長様だったなんて聞いてません


「姉ちゃんは? 高校卒業したぐらいだろ?」


「うん、お姉ちゃんが卒業して、私が高校へ入学したって感じ」


「あいかわらずなのか?」


「家を出て、東京でOLさんしてるみたい」


「うそっ! そんなに性格が丸くなったのか!」


「あいかわらず、すごく尖ってるけど……」


「やっぱりな……」


 私は帰路を歩きながら、お互いに小学生だった頃を思い出す。


 中学生になったばかりのお姉ちゃんは、すごく怖かった。

 他校の生徒と喧嘩もしてたし、曲がった信念は許さない感じを貫いてた。


 同じ境遇の女子仲間を集めて暴走族を作り、規模を大きくしていく。

 この町で最強のレディース組織と恐れられ、その初代総長としてみんなを束ねてた。


 でも本当は、喧嘩が強いだけでなく、お姉ちゃんはみんなから慕われてたんだと思う。

 赤い特効服の背中には『初代総長』の文字が刻まれていた。



 その赤い特効服は……家のクローゼットで静かに眠ってる……



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