ひさしぶりに再会した幼なじみが総長様だったなんて聞いてません
「どうして、あの姉ちゃんの妹が姫乃なんだ?」
「そんなの分かんないよ……」
私が中学生の時、お姉ちゃんが地元最強のレディース暴走族総長だなんて、誰にも話したことはない。
内気で目立つことを嫌う私とは正反対の性格。
お姉ちゃんの名前は姫花(ひめか)で、妹の私は姫乃。
顔も双子のように似てるけど……
制服を着崩して濃いメイクのまま高校に通ってたお姉ちゃん。
見た目が地味子な私とでは、並んで歩いても不釣り合いだった。
「姉ちゃんは家にいないんだな、ホッとしたぜ」
「どうして?」
「いっつもプロレス技と関節技の二刀流で、ボコボコにされてただろ」
「奈緒くん、いつもお姉ちゃんに泣かされてたよね」
「小学生のころだろ! 恥ずかしいじゃねーか!」
私はつい、当時のことを思い出してクスクスと笑ってしまう。
「姫乃、やっと俺の前で笑ってくれたな……」