ひさしぶりに再会した幼なじみが総長様だったなんて聞いてません


「えっ」


「学校でも、ずっと気難しい顔してたから……心配だったぜ……」


「ごめんね……」


 学校で、教室で、クラスメイトの前で、私が笑顔を見せることはなかった。

 でも、幼なじみで心を許せる奈緒くんの前だったら、自然な私でいられる。


 いつも周囲から身構え、自分を押し殺して透明人間になっていた。

 空気は透明だから、誰からも視線を向けられずにすむ。

 中学生の時は、そんな風に考えながら過ごしてた。



 高校生活も同じように……



 だけど、奈緒くんが隣にいてくれたら、笑顔になれるんだって気づいた。


「ありがとう、奈緒くん……」


「姫乃、どうしたんだいきなり……てゆうか、前見て歩かないと危ないぜ?」


「わわっ!!」



 私は……



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