ひさしぶりに再会した幼なじみが総長様だったなんて聞いてません
5. 同居なんて聞いてないよ
「おばさん、帰ってきたぜっ!」
私の家に入ってすぐ、玄関に立つ奈緒くんは大きな声で叫んだ。
「元気だね……」
ひさしぶりに我が家へ足を踏み入れて喜んでるみたいだけど、私には不安要素があった。
中学生の時に仲の良い友人がいなかったから、家へ誰かを招き入れたことなんてない。
ましてや、異性の同級生と交流さえなかった。
小学生の時は自分の家みたいに、お互いの家へ行き来してたけど……
幼なじみだったとはいえ、自分の部屋へ男子を入れるなんて……
「あれ? 誰もいね~の?」
「台所で夕食の支度をしてたら、声は聞こえないかも……」
「じゃあ、姫乃の部屋に行こうぜ」
「ちょっ、ちちちょっとまって!」
いきなり私の部屋へ行くとか言ってるし、なんでそうなるのよ!
奈緒くんが私に接する態度は小学生の時と変わらない。
私たち、いちおう高校生なんだからね。