ひさしぶりに再会した幼なじみが総長様だったなんて聞いてません
夕食の準備をしながら気軽に話してるけど、それって大変なことじゃない?
奈緒くん、自分の家で一人なんだね……
お母さんが食卓テーブルに食事を運びながら、口を開いた。
「お父さん、しばらく出張で帰らないわよ」
「うそっ!」
私、そんなの聞いてない!
「奈緒ちゃん、まだ何も片付けしてないんでしょ? 今晩は家に泊まっていきなさいね」
「おばさん、たすかるぜ」
私の意見を聞かないまま、どうして勝手に決めるのよ。
泊まっていく? 奈緒くんが家に?
動揺して食卓テーブルに並べられた夕食に箸を付けられない。
「どうした姫乃、食わねえの? うまいぜ?」
「うん……」
胸のドキドキが止まらない。
私の胸中とは裏腹に、奈緒くんは美味しそうに夕食を楽しんでる。