ひさしぶりに再会した幼なじみが総長様だったなんて聞いてません
たしかに、奈緒くんはイケメンで背が高くて女子から人気がある。
でも、今日の行動を見てる限り、あまり同級生の女の子には興味がなさそう。
見た目が地味子なのに、私にだけ優しく接してくれた。
ひさしぶりに再開した幼なじみの私を、どう思ってるんだろう。
奈緒くんと一緒に並んで歩いた通学路。
地味子の私とは、釣り合わないって分かってる。
離れて生活していた空白の三年間があっても、私の気持ちは変わらなかった。
「奈緒くん……」
幼少の頃、一緒に過ごした思い出を楽しそうに話してくれたね。
暴走族でレディースの総長だったお姉ちゃんのことも、気にかけてるみたい。
奈緒くんが中学生だった時のことを知りたいけど……
無理に聞き出そうとせず、自分から話してくれるまで待とうかな……
椅子に座ったまま食卓テーブルを見つめ、心の中で独り言を呟いてた時に。
「いま何時だと思ってるの! いつまでもボーッとしてないで、アンタもお風呂に入ってきなさいっ!」
「えっ、でも奈緒くんが……」
「もう上がったわよ」