ひさしぶりに再会した幼なじみが総長様だったなんて聞いてません


 どうしたんだろう、体が硬直して風呂場の扉が閉めれない。

 私と奈緒くんは見つめ合ったまま、視線を離すことができずにいる。


「姫乃、三つ編みじゃないヘアースタイルのほうが可愛いんじゃね?」


 私の長い黒髪姿を見ながら、奈緒くんがそう言ってきた。


「アホ!」


 私は風呂場の扉を勢いよく閉め、脱衣所にある洗面台へ。

 鏡に映る自分の姿は、顔が真っ赤に染まってる。

 体温も上昇して、すごく暑い。


「お母さんの言葉を鵜呑みにして……やられた……」


 その時、奈緒くんの大きな声が風呂場から聞こえてきた。


「ゆっくり入れって言ったの、姫乃だからなっ!」


 たしかに、私は言いました。

 ボーッとして何も考えず、お風呂に人がいるか確認しないで行動した私が悪いんです。

 奈緒くんに罪はありません。



 でも、あの傷はどうしたのだろう……



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