ひさしぶりに再会した幼なじみが総長様だったなんて聞いてません


 そんなことを心の中で思っていた時。

 お母さんが姿を見せて、私に話しかけてきた。


「奈緒ちゃん、今夜は家に泊まっていくんだから、お布団よういしないとね」


 やっぱり、決定事項みたい。

 変に生真面目な私は、大丈夫かなって不安な気持ちでいっぱいだ。

 そんな私の胸の内を知らないお母さんは、なんだか楽しそう。


「てゆうか、お布団敷いてきちゃた」


「え? どこに?」


「姫乃の部屋に決まってるでしょ」


「はあ?」


 絶対にこの状況を楽しんでる。

 年頃の男女を同じ部屋で一晩過ごさせるなんて……

 うちの親は何を考えてるのだろう。


「俺、姫乃の部屋で寝るの何年ぶりだろ、懐かしすぎて思い出せねえ」


 そっか、幼少の頃はよく家に泊まって、一緒の布団で奈緒くんと寝てたよね。



 ん? ちょっとまって!?

 私たち同じ布団で、一緒に寝てた……



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