ひさしぶりに再会した幼なじみが総長様だったなんて聞いてません
「あたしが中2の時、イケメン君はすでに転校してたから」
「私も中1だったしね」
「初代総長から話だけは聞いてたのよ」
「どんな?」
「妹の幼なじみ男子に、総長直伝の関節技を仕込んで伝授したって」
私から見たら、お姉ちゃんに色々な技をかけられてボコボコにされ、いつも奈緒くん泣かされてた印象だけど……
「だからアイツ、初代総長の技で頂点に上りつめたのか……」
「えっ、奈緒くんのこと? なんの話?」
「あら? ……知らぬが仏だわ」
私は、和泉ちゃんが話す言葉を理解できてない。
集めた情報で、何か知ったのかな……
などと思ってるとき、昼休みが終わるチャイムが廊下に鳴り響いた。
「強引に連れ出して、ゴメンね姫さま」
「いいの、私も和泉ちゃんと話せてうれしかった。色々と教えてくれてありがとう」
「やっぱり姫さまは、いい子だよぅ」
勢いよく私にハグすると、和泉ちゃんは自分の教室へ帰っていった。
奈緒くんのことが気になったけど……
私も自分の教室に、小走りで戻っていく。