ひさしぶりに再会した幼なじみが総長様だったなんて聞いてません
目の前の光景を見るだけで、足が震えてしまうよ。
周りに生徒や先生の姿はないし、どうしよう。
「くっだらねえことしてるなっ!」
私の背後から、聞き覚えのある声が響く。
涙目で振り返った先に立っていたのは、ズボンのポケットに両手を入れて目を細める奈緒くんの姿だった。
「てめぇは呼んでねえぞ蜂屋っ!!」
谷崎くんも大きな声で威嚇するように言い放つ。
「うっせーぞ谷崎、臭い息で俺に話しかけるなっ!」
「なんだと! 蜂屋だまって帰さねえぞっ!」
怒鳴り合いを聞いて、カーストの子たちも身を縮めて萎縮してる。
「姫乃の姿が見えないから、クラスの奴に聞いたぜ! 校舎の裏に呼び出されてるってな、一人で来いだと? お前ら何人で姫乃に……」
「もういいよ、やめて奈緒くん!」
奈緒くんが話してる言葉を途中で断ち切り、私は無用な争いを止めるように言い放つ。
自分たちが現役の暴走族を連れてきたことで、こんなにも大事になるとはカーストの子たちも予想してなかったはず。
でも、ことは簡単に収まりそうもない。