ひさしぶりに再会した幼なじみが総長様だったなんて聞いてません
「ちょうどよかった、遅れて入学してきたイケメンのことが気に入らなかったんだ」
谷崎くん嘲笑いながら目を細めて威嚇してくる。
「黙れ、谷崎は息をするな! 地球の酸素が減るだろうがっ!」
「なんだと!蜂屋てめーはただじゃおかねえ!シメる!!」
「上等だコラっ!」
校舎を背にしてるカーストの子たちと谷崎くんに向かって、奈緒くんが歩み寄って近づいてく。
仁王立ちで構える谷崎くん、奈緒くんはズボンのポケットに手を入れたまま詰め寄る。
そこに、イケメン男子の姿はなかった。
喧嘩上等、私が知らない奈緒くんが目の前にいる。
谷崎くんは、奈緒くんの胸ぐらを掴んで今にも殴りかかりそう。
「谷崎、俺は手を出して殴らねえぞっ!覚えとけ!」
「ふざけやがって、そのイケメンをボコボコにしてやるぜっ!」
拳を振り上げた谷崎くんだけど、奈緒くんはズボンのポケットに両手を入れたまま。
強く握り締めた谷崎くんの拳が、奈緒くんの顔面にせまる。
でも、奈緒くんは相手の拳から視線を離さない。