ひさしぶりに再会した幼なじみが総長様だったなんて聞いてません
「初代総長が教え込んだ喧嘩技、さすがだねえ。イケメン幼なじみ、見直した」
和泉ちゃんは関心してるけど、私はそんなのどうでもいい。
なんとか二人の喧嘩を止めたいだけ。
抗争が公になれば、奈緒くんだけでなく、谷崎くんも学校は退学。
せっかくこの町に奈緒くんが戻ってきたんだ、またどこかへ姿を消してしまうのは嫌だよ。
「和泉ちゃん……」
「姫さまの頼みでも、無理」
ですよね、そう言うと思った。
情報を教えてくれただけでも感謝してるよ。
今夜、地元にある大きな河川敷に集まるみたい。
大きな橋を横目に、街灯で明るくなった広い敷地は、普通の人が近づかない不良の溜まり場。
そんな所に、内気で地味子の私が行くわけ無いだろうと、和泉ちゃんは思って教えてくれたんだ。
明日からしばらく、学校は大型連休で登校しなくていい。
今夜が山場なのは分かってる。
内気で地味子の私だけど、心に決めた。
必ず奈緒くんを救い出す。
だから……
「お姉ちゃん、私に力をください……」