ひさしぶりに再会した幼なじみが総長様だったなんて聞いてません


 鏡を目前にして、お姉ちゃんのメイク道具を借り、顔を初代総長に近づけていく。

 深紅のグロスに目元は力強いアイライン。


 毛先が胸元まであるストレートの髪を結んで、サイドテールを作る。

 トレードマークの赤いシュシュをしたら、初代総長のお姉ちゃんが目の前にいるみたい。


「髪の色も綺麗に染まったし、もう後戻りはできないよね……」


 鏡に映る私は、目が覚めるほど明るい金髪だ。

 もう、後悔することはない。


 時間を忘れて夢中になっていたら、すでに外は日が落ちて暗かった。


「うそ、急がないと!」


 慌てて家を飛び出し、自転車に飛び乗る。

 すごく目立つし、通行人がジロジロ見てくる。


 金髪姿で赤い特攻服に身を包んだ私。

 どこから見ても初代総長。

 でも、心の中は内気な地味子のまま……


「まっててね、奈緒くん……」



 ぜったいに、バットエンドじゃ終わらせないよ……



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