いじっぱり姫の青葉色は。
笹羅くんにぶつかった男子はほんとにわざとじゃなかったみたい。でも、『守月』の幹部にぶつかったことで注意喚起、あるいは実力行使に出るか……ぶつかってすぐに笹羅くんが青葉薫へと視線をやったのが、目で聞いてるように見えたんだ。
他の2人も同じく、それぞれ時間が割かれたり、その日の予定に影響がないか気になったりしたのが容易に想像できた。
それに、さっきだって、桐山は同意を求めるだけなら一番近くにいる唯くんに聞いたらよかった。でも、それをわざわざ一番遠くにいる青葉薫に聞くんだから笑っちゃう。表向きのトップは桐山ってカムフラージュかなんだか知らないけど、もっと上手くやらないと。
そこまで思って、一度堪えた笑いが再燃しそうになったとき。
「ふっ……くくっ。……ははは!」
「えぇ……」
……青葉薫が壊れた。
桐山みたいに大きく口を開けて、お腹から笑い声を上げている。
青葉薫が破顔するのは、やっぱり珍しいことらしい。唯くんと笹羅くんは目を見開いて動けずにいるのはきっとそういうことだ。
ただ一人、空気の読めないバカは私の腕を掴んで強く引き寄せた。えっと……急にどうした?