いじっぱり姫の青葉色は。
「撫子ってば俺たちのこと見過ぎ~! 撫子も俺たちと仲良くなりたいんじゃん!」
「ち、ちが」
「そうしそうあいってやつだね!」
ふふんと眩しい笑みを向けたと思いきや、意外と筋肉質な腕に抱き締められる。いや、締め上げられている。ネクタイの仕返しかと疑うほどに苦しい。
骨がみしみし音を立てている気がする。そろそろ背骨が折れそう。
「流星」
「はーい」
青葉薫のドスの効いた低い声に、桐山は瞬時に私を解放した。裏ボス、やっぱ強い。
「んで、なにが違うって?」
再び私の正面に立った青葉薫は、私の顎を持ち上げて挑発的に訊ねた。
今まで以上に近い距離にいるせいか、大人っぽい香りがふわりと私の周りをうろつく。謎に鼓動が跳ねた。くそう、マセガキめ……。
改まって聞かれると、なんとなく言いにくい。
だけど、青葉薫はしつこい変人。答えるまで放してくれないってのはわかっている。
「……あんたたち、ずっと楽しそうだから」
「聞こえねーよ」
「っ、だから! 仲良くなりたくはないけど! 楽しそうにしてるから、つい目が追っちゃってたんだよ!」