いじっぱり姫の青葉色は。



 これを聞いたときは普通に桐山の顔面めがけて拳を飛ばした。簡単に避けられたのが、なおのことムカついた。


 全ての発端は桐山……一生恨んでやる……。


 手始めに、不良たちと喧嘩してる間に脛を蹴られて青あざができる呪いをかけといた。しばらくの間、ジーパンやジャージのズボンを着脱するときにせいぜい地味に苦しむがいい。


『どうでもいい女だったら放置しとこうかと思ってたけど……気が変わった』


 この男……笑顔でさらっとクズいことを言った。


 私が桐山を呼び出さなかったら青葉薫と関わることもなく、"どうでもいい女"認定されて見捨てられてたってわけで。


 ……あれ、え?冷静に考えて、この男マジでヤバいな?


『ちゃんと姫だって宣言しとけば、相手は簡単には手を出せなくなるからね~。仲間たちによる警備も厳しくなるし!』

『俺たちが守ってやるから、お前は黙って受け入れろ』


 力強くはっきりと言い切った青葉薫の目に、偽りや誤魔化しの色は映っていなかった。揶揄うような笑みも綺麗に消えていたから、やつのこの言葉だけは大人しく受け止めてやろうと思う。



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