いじっぱり姫の青葉色は。
喧嘩が強いんなら運動神経は悪くなさそうだし……その上スイーツも作れるとか。
なんでもできて顔がいいのは私だけでいいのに。キャラかぶってるんですけど?
あ、でも、青葉薫は性格が悪いから完全に一致ってわけじゃないか!
「一口よこせ」
ほら、こういうとこな?
すかさず『あ』と大口を開けるこの男は、クールな見た目に反した大の甘党だったりする。
……もしかして、家でもひっそりスイーツを作ったりしているんだろうか。スイーツ作りに慣れているから、美味しいスイーツを作れるんだろうか。もしもそうだったら、めちゃくちゃウケる。
「これ私のなんだけど……?」
「じゃあ自分で払―――」
「はい、あーん」
足元を見られている私は、大人しく青葉薫の大きく開いた口へとパンケーキの欠片を運ぶ。
と見せかけて、私はフォークの先でぐらついていた大きめのそれを自分の口へと放り込んだ。そして、青葉薫の口が閉じられると同時に、がちりという鈍い音が響いた。