いじっぱり姫の青葉色は。
その後を追うように、ゆっくりと。「なぁ、どうする?」なんて意味深な言葉を囁きながら近づかれ、今度は私の唇の中心めがけてさっき触れたばかりの柔らかいそれが触れそうになったとき。
「んぐ」
「んむ」
私たちの間にふんわりと、気持ち程度のクッションが割って入ってきた。
正しくは、私が反射神経を駆使し、とっさにパンケーキの欠片を割り込ませた。
あっぶない……このドS男、油断も隙もない。
私が先に意地悪したから仕返しをしようと思ったんだろうけど!だからって好きでもない女とキスしようだなんて!
私も無駄に放出してる色気にあてられて、意味もなくドキドキしてしまったじゃんか!!
「んっ……!?」
感情も乗せたフォークを、そのまま青葉薫側へと押し込む。
薄い唇の隙間からめり込んでいったふわふわは、無事に甘党を満足させたらしい。思い通りにならない私を見て眉間に皺を寄せたものの、甘味を口に含んでから速攻で僅かに口元が緩んだのがその証拠だ。
意地悪は成功。ファーストキスは奪われずにすみ、青葉薫の反撃も阻止。青葉薫の不機嫌は甘味で抹消できた。
ヤバい。自分ができる女過ぎて怖い。