いじっぱり姫の青葉色は。
さて。“噂”とかなんとかほざいているこの不良は敵か味方か。
先週、『守月』のメンバーの顔写真付き名簿を見せてもらった。天才撫子の記憶に、目の前にある顔はインプットされていない。
ということは『守月』以外のワルだってことで……私の名前を知っているこいつは、私の敵だ。
……うん。ちょっとまずいな?
「怯えてんの? マジかわいーね! やっとあいつらがいなくなったし……撫子と近づけたのマジ嬉しーわ」
笑みを深くするワルは私の方へと近づいてくる。パッと見たところ、他に人影は見当たらない。単身で動いているのなら、やっぱりそんなにまずくはないかも?
雑魚一人ならどうにかできる。
それにしても、もったいぶって一歩一歩ゆっくり距離を詰めてくるのがムカつくな。足が短いから遅く感じるだけなのかもしれんが。
「オレは下っ端だからさぁ、撫子の後をつけないといけないわけ。そんで3日前も他の下っ端と撫子の家を特定するためにつけてたんだけどさぁ……」
血迷ったのか暴露話をし始めたワルは、自らのこめかみを指さした。
「ここ、撫子のとこの幹部にやられたんだよね」