いじっぱり姫の青葉色は。



 私の反応を見逃さないようにと、べったりと纏わりつく視線が気持ち悪い。


 どんな反応をしてほしいのか知らないけど『はぁ』の1.5文字を返す価値もないほどにこの不良の話なんてどうでもいい。


 私のそんなあからさまな無反応に苛立ったのか、最後の距離を大股で詰めた不良は私の手首を強く掴んだ。


 無駄な肉がない私の手首は悲鳴を上げた。痛いのは嫌なのに。


「オレはボロボロ、そいつはかすり傷一つついてない。そんなのムカつくに決まってるよな」
「いっ……」


 ギリっとさらに力が込められ、今度は思わず顔をしかめてしまった。か弱い声も出たのがちょっと恥ずかしい。だって私のキャラじゃないし……。


 一方で、朝からみんなの機嫌が良くなかった日があったのを思い出した。


 絆創膏を貼るまでもない小さな傷を頬に残してたり、手首に湿布を貼ってたり。青葉薫はなにもなかったのが総長らしいなと思ったのは記憶に新しい。


 荒れてたのは2日前だから、事があったのはちょうど3日前。そうだ、あれは珍しく家にまっすぐ帰った日だった。


 私を『守月』の仲間に送らせ、自分たちは私をつけてるやつを締め上げてたってことか……桐山に『湿布臭いから近寄るな』なんて言ったこと、謝らないと。


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