いじっぱり姫の青葉色は。



「……なっ!?」


 掴まれた左手を相手の手首よりも外側に向けて動かし、そのまま蛇が木の枝に巻き付くように相手の手首をくるりと一周。いつの間にか、相手は私の手首を離すことになった。


 後ろに跳んですばやく距離をとれば、相手の手も刃も届くことはない。相手の油断と動揺が重なって、護身は成功だ。


 これが強い人だったら俊敏に再度捕獲されて終わりだけど、今回は下っ端だからうまくいったんだ。掴まれてたら戦えるものも戦えなくなる。


 戦闘に発展しないのが一番いいんだけども。


「はーまじか。そんなのあり? すぐに背中を向けない辺り、相当喧嘩慣れしてそうだなぁ」

「あ、あははっ……嫌だなぁ、慣れてなんかないですよ」


 なんとか出した声が震えなかったのは、お母さんとの女子口調レッスンの賜物(たまもの)かもしれない。


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